第14回 離婚相談
養育費は無しと決めたが、後から変更・増額可能か!?
離婚カウンセラーの
ミライです。
養育費は、離婚時に決めるべき条件の一つです。
ただし、何らかの事情で養育費を無しとしてしまう場合もあります。
子どもにかかるお金は、実際に子どもが成長してみないと分かりません。
その場合、ずっと養育費は無しのままなのでしょうか。
今回の相談者は、離婚時に養育費は無しと決めてしまったが増額変更を希望している元妻Bさんです。
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≪相談の背景≫
養育費無しの条件で離婚したが…
元夫A氏(40代)
会社員
(相談者)※離婚済
元妻Bさん(30代)
派遣社員
※母が監護中
8歳(長男)
小学生
※母が監護中
5歳(長男)
保育園児
あぁ、今月は赤字か。
ホント、生活が苦しい。
『養育費はいらない』なんて言うんじゃなかった!
私は、家計簿をつけながらため息をついた。
ちょうど、8歳の長男が地域の野球チームに入ることになり、道具一式を買ったのだ。
ユニフォーム、グローブ、バット、靴、靴下などで計2万円。
シングルマザーの私の手取りは約18万円。
家賃・光熱費・通信費で8万円かかるので、10万円で食費などその他全てを賄わなければならない。
市役所からの補助があるとは言え、いつもぎりぎりの生活だ。
その生活で、突発的とは言え2万円の出費はかなり痛い。
お金に困った時、私は元夫との離婚を急いだことを思い出す。
当時、元夫からのモラハラ(精神的虐待)や暴力に耐えられず、子ども2人を連れて家を出た。
元夫は謝ってきたが、やり直す気持ちは全くなく、離婚を決意した。
元夫は、離婚やむなしと悟ると、態度を変えて強気に出てきた。
「養育費無しなら、離婚に合意してあげても良い」と言ってきたのだ。
この男は、自分の子どものためのお金を払おうとしないのか。
私は、どれだけくだらない男と結婚したのだろう。
もはや、一刻も早く離れたかった。
そのため、『養育費は無し』という条件で離婚した。
あれから3年。
生活はだんだん苦しくなる一方だ。
上の子は、小学校に入ってからお金がかかるようになった。
スポーツや遊びで、細かい出費が続く。
背がどんどん伸びるため、服は何度も買い替えなければならない。
しかも、授業参観やPTAなどで私の時間も取られる。
下の子は、至れり尽くせりの保育園なのでまだマシだ。
だが、小学校に上がることには、今まで以上に大変になるだろう。
だが、2人の子どもを見るのはかなり大変なので、仕事を早く切り上げる必要がある。
そのため、残業代はほとんど無いため給料は少なくなる。
仕事・家事・育児で自分の時間なんて全く無い。
ほんと、子どものためだけの人生だ。
それなのに、ギリギリの生活を送っている。
体力は自分の時間を犠牲にすることでなんとかなる。
しかし、金銭的な部分は限界がある。
シングルマザーがこんなに大変だなんて。
このまま2人の子どもが成長していくと、はたして生活していけるだろうか。
上の子は、そろそろ習い事を始めさせる時期だ。
周りの友達は、そろばんや公文式などは通い始めている。
中には、英語やプログラミングなどを習い始めている子もいる。
うちの子も、最低限の教育は受けさせてあげなければ。
しかし、ホント生活が苦しい。
貯金などほとんどできていない。
収入を増やそうにも、今の職場より良い条件の職場など、まずない。
あったとしても、シングルマザーの私を雇う会社など皆無だろう。
かと言って、今の仕事でこれ以上残業を増やすことも不可能だ。
副業のアルバイトなども考えたが、家事などを考えると、とても時間など無い。
長い目で見ても、今のままでは次々にお金の問題が発生するだろう。
むしろ、問題はますます大きくなりそうだ。
中学・高校・大学と進めば、教育費も増えてくる。
授業料だけでも大変なのに、塾代なども必要になるかもしれない。
もし十分な教育を受けさせてやることができなければ、子どもたちは将来苦労するかもしれない。
自らシングルマザー生活を選んだとはいえ、生活は苦しい。
だが、子どもたちに理不尽な思いはさせたくない。
しかし、私の努力だけでなんとかできる問題ではない。
実家にも頼れない。
実家の経済状況は十分知っている。
今でもカツカツなのに、これから両親の介護費用も貯めなければならない。
あぁ。
生きるだけでこんなにお金がかかるなんて。
シングルマザーがこれほどまで大変とは。
こうなったら、元夫にお願いするしかない。
悔しいけど、私が頭を下げて済むなら何度でも下げよう。
少なくとも、子どもたちに辛い思いをさせるわけにはいかない。
通常だと、養育費はどのくらいになるだろうか。
多くの場合、裁判所が公開している算定表を用いて決めることが多い。
元夫は、中堅企業勤務で年収約500万円だった。
経営も安定している会社だ。
私の年収は300万円弱。
子どもは、2人。
算定表を基にすると、本来の養育費は4〜6万円となる。
たくさん欲しいという訳ではない。
下限の月4万円でいいから負担してほしい。
今よりも月4万円増えれば、生活はどれほど楽になることか。
だが、離婚時に『養育費はいらない』と合意してしまっている。
この合意があるから、今さら欲しいと言っても無駄なのか?
だが、私が知らない何か良い方法があるかもしない。
今の状況を打開する方法があるかもしれない。
離婚カウンセラーに相談してみよう。
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≪離婚相談の内容≫
養育費ゼロで合意済みでも、子からの請求は認められる!
元夫A氏と元妻Bさんは、『慰謝料無し』で離婚に合意した。
元妻Bさんは2人の子どもを養育しているが、年々生活費が増えて生活は困窮していた。
実家にも頼れない元妻Bさんは、元夫になんとか養育費をもらえないか考えていた。
私は、子どもが幼いうちに離婚して、シングルマザーとして育てて行くことになりました。ただ、子どもが成長するに連れて生活は苦しくなっていくのを感じます。
他のシングルマザーさんも、同様に大変な生活を送っているのですか?
シングルマザーのみなさんは、ホント苦労されています。
シングルマザーの平均年収は200万円台。
なお、年収200万円以下は全体の6割を超えています。
養育費に関しても、支払われている家庭は全体の2割台と低迷しています。
私の実感から、シングルマザーは段々と生活が苦しくなる運命だと思うのです。
幼い頃の出費は限られていました。
しかし、長男が小学生に上がると、毎年出費が増えてきています。
塾などの習い事を始めると、毎月一定額の負担となり続けます。
これが、中学高校の頃には、塾代などでどこほどのお金が必要になるか想像つきません。
家での学習用の問題集などすら、大変かもしれません。
確かに、子どもにかかるお金は成長とともに増えますね。
かといって、私たちシングルマザーが就ける職は限られています。子どもがいるため正社員の職は難しく、派遣社員やパート社員が多いです。その場合、職場での年次が上がっても給与の上昇は、微々たるものです。
さらに、年齢が上がれば体力の低下は避けられません。昔は多少無理が効いても、30代後半〜40代になると無理が効かなくなってきます。
結果、収入は上がらないが、支出はどんどん上がり、結果的に苦しくなっていくのです。
明るい未来など期待していませんが、暗闇が深くなっていっている様な気がします。
父親がいる家庭では、一般的に年次が経つにつれて父親の年収が増加するので、家庭の生活費増加に対応できます。家計の収支にとって、父親の存在は大きく影響しているのです。
その分、正社員の職にもなかなか付けないシングルマザーは苦労してしまう社会構造になってしまっています。
ただ、現実的に今前向きになれる方法を一緒に考えましょう。
ご相談の養育費の件ですが、離婚時に『養育費無し』で合意されているのですね?
はい。
『養育費無し』で合意してしまいました。
モラハラと暴力がひどくて、一刻も早く縁を切ってしまいたかったんです。
養育費無しとしたのも、毎月催促などのやりとりをしないで済むと思ったのもあります。
しかし、その考えは甘かったです。
今となっては反省しています。
離婚は勢いでしてはいけない、の典型例ですね。
離婚時、元旦那さまと縁を切りたいという理由で養育費を設定しない夫婦は一定数います。しかし、離婚後の生活を考えると、取れるお金はできるだけ取っておくことに限りますね。
さすがにこのままでは生活がやっていけません。
子どもたちに不憫な思いをさせるのは耐えられません。
元夫に頭を下げてでもお願いもするつもりです。
ただ、もし話し合いで決まらない場合に、調停や裁判で養育費の変更を認めてもらえるのでしょうか?
Bさんは、元旦那さまとの離婚時に『養育費はいらない』と合意していますね。
しかし、それでも諦めるひつようはありません。
結論から言いますと、養育費ではなく扶養料としてお金を請求することは可能です。
似た状況での過去の判例を紹介します。
判例の紹介
札幌高等裁判所 |
---|
昭和43年12月19日 |
家裁月報21巻4号139項 |
離婚時、監護親となる母は「慰謝料を請求しない」という旨の念書を父に差し入れた。しかし、後に子どもから父に対して扶養として養育費を請求した。
札幌高裁は、 ※民法881条 |
大阪家庭裁判所 |
---|
平成元年9月21日 |
家裁月報42巻2号188項 |
離婚調停時、夫は無職であり、「養育費を請求しないのであれば、離婚に応じて良い」という意向を示したため、「今後相互に名目のいかんを問わず、金銭上、財産上の請求をしない」と合意して離婚した。 その後、父は定職に就いて経済的に安定した。一方、母は最低限の収入しかない状況となり、母から父に養育費を請求した。
大阪家裁は、事情の変更を認めて養育費の請求を認めた。 |
今後について
離婚時、父母間の力関係などで「養育費は無し」との合意される時はあります。例えば、母が早く離婚したい場合などには、養育費なども条件を諦める場合もあります。
しかし、母親とは言え、『子どもが父親に養育費(扶養料)を請求する権利』を放棄することが認められていません。したがって、例え父母が離婚時に『養育費は無し』と合意していても、子どもが父親に養育費(扶養料)を請求することはできます。
子どもが養育費(扶養料)を請求した際は、個々の事情にもよりますが、過去の判例では認められているケースがあるのです。
なるほど。
養育費については、元夫と元妻(私)で『支払わない』と合意していても、子どもが親に請求する扶養料の請求権は生きているのですね。そして、子どもが父親に扶養料を請求することは可能なのですね。
例え養育費を放棄してしまっていても、子どもからの扶養料の請求をしてみる価値はあると思います。
ミライさん、ありがとうごいます。
あと、ミライさんにひとつ聞いてみたいことがあります。
シングルマザーが、平均収入くらいの生活になれる方法ってどんなのがあるのですか?
特殊な例ではなく、できるだけ現実的な例があれば教えて欲しいのですが。
私が見てきた中では、シングルマザーが貧困から抜け出す現実的な方法は2つあります。
それは、転職と再婚です。
転職と再婚ですか?
それは、どういうことですか?
1つ目の転職は、『ほとんどのシングルマザーはもっと良い仕事を探す余地がある』からです。
実際に転職活動をすると、シングルマザーにとって本当に働きやすい店が意外とたくさんあることが分かります。人によって重視する条件はそれぞれ異なりますが、労働時間や年収などの改善が見込める可能性は十分あります。
確かに!
常に、他にもっと良い職場は無いのか頭では考えています。
2つ目の再婚は、『男性の経済力は家計の収支を一気に改善する』からです。
世の中はまだまだ男性中心です。シングルマザーの多くは派遣社員や一般職などの職種に限られ、大きな年収増加は期待できません。また、子どもの世話のため多忙な仕事には就けません。
それに対して、多くの男性は昇給・昇進が期待できる総合職として働きます。そのため、年次が経つにつれての年収の増加し、家計や子どもの生活費増加に十分対応できるのです。
なるほど!
めちゃくちゃ納得できます!
扶養料の問題が片付いたら、一度じっくり考えてみます!
頑張ってください!
応援しています!
離婚時に『養育費は無し』と合意していても、子どもからの扶養料の請求は認められる!
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ヤマト氏は、離婚調停を10回も行いました!
・弁護士や調停委員との実際の会話内容
・調停で妻側弁護士と同席して激論した会話内容
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・養育費や面会交流などの離婚条件
・離婚のそれぞれのステージでどんな心境だったか…
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