第12話
4回目の離婚調停!婚姻費用を巡って、再び部長クラスの裁判官(部長クラス)が登場!
妻が出ていって6ヶ月
この日は、4回目の離婚調停でした。
私はサラリーマンです。
基本的に土日が休みです。
一方、離婚調停は月、水、金に行われます。
この日も、上司に無理を言って年休を取得しました。
今日は、裁判官からお話があるそうです。
以前にも登場いただいた部長クラスの裁判官です。
わかりました。
おそらく、投資用不動産の減価償却の資料を出すよう再度説得するつもりだな。
私は、資料を出さないことが目的ではない。
部長クラスの裁判官に『判例通りの結論でなければ東京高裁に抗告する』と印象付けるのが目的だ。
したがって、十分印象を残せていると感じたら、資料は提出に応じよう。
ここで、以前と同じ部長クラスの裁判官が登場。
少し怒っている様に見えます。
しかし、私も人生がかかっているのです。
小者だが魂も小さいとは思わないで下さい。
ヤマトさん。
不動産の減価償却の資料をなんとか出してもらえませんか?
提出した東京高裁の判例は見ていただけましたか?
判例では不動産の家賃収入は考慮しないため、資料は必要ないと考えています。
もし出すなら東京高裁で出します。
東京高裁の判例は見ました。
ただ、裁判官が審判なり裁判で結論を出すときは、収入や事情など全てを正確に理解した上でなければ結論を出しません。
今回の場合、減価償却を考慮した家賃収入の数字が全く分からないまま、『エイヤッ』で結論を出すようなことはしません。
それに、裁判所から要求した場合、ほとんどの人は資料を出します。
どうしても出さないのであれば、『その様な人』と見なすことになるでしょう。
もう一度言います。
不動産の減価償却が分かる資料を、提出いただけませんか?
部長クラスの裁判官には私の意思が十分伝わっただろう。
あまり長引かすと、裁判官や調停委員を敵に回してしまう。
わかりました。
数日以内に減価償却の資料を、裁判所と妻側弁護士へ送付します。
ただし、私の主張はあくまで給与収入のみを考慮すべきというものです。
これが認められない場合、東京高裁に抗告します!
ここで部長クラスの裁判官は退室しました。
さて、離婚についてはどうお考えですか?
私は、離婚の可能性も受け入れなければならないと考えています。
しかし、妻側弁護士が条件を提示してこないので、考えようがないのです。
私としては『離婚するとしたらどういう条件か』という話し合いをしてもよいと考えています。
なるほど。
おっと、今日はそろそろ時間なので、これで終わります
最後に、良いですか。
今日で4回目の調停ですが、不調になって裁判になる可能性も出てきていますね。
ただ、これはあくまで個人的な感想ですが、ヤマトさんの場合は裁判になっても離婚は認められないと思います。
えっ!?
調停委員が、個人的な見解としつつも私の肩を持つ発言をしてくれている。
まさか調停委員がこれほど明確に味方をする発言をするなんて。
驚きですぐには言葉が出ない・・・。
そもそも、なぜこの調停委員はそのような発言をしたのか。
ただ単に、証拠などが無いと考えておられるのか。
それとも、私の意見を聞いてやり直せる可能性を感じておられるのだろうか。
だが、私は裁判に勝ちたいのではない。
妻側弁護士に負けたくないのではない。
私が一番うれしいのは・・・
離婚不可の判決はとてもありがたいです。
しかし、私は妻が戻ってきてくれることが一番うれしいのです。
こうして、4回目の調停は終わりました。
帰宅後、投資用マンションの減価償却の資料を、裁判所と妻側弁護士に送付しました。
そして改めて、婚姻費用がいくらになりそうかを整理してみました。
婚姻費用は、夫婦それぞれの年収と子供の数を元に決まります。
その条件を、裁判所のHPの算定表に当てはめて決めるのです。
この時、自分の年収は低めに、相手の年収は高めに設定した方が自分に有利になります。
ここで、それぞれの意見を整理してみます。
<ヤマトの主張>
私(ヤマト)の年収は、給与収入600万とすべき。
理由
東京高裁の判例を基にすると、不動産収入は考慮しない。
【同居中に勤務先の給与収入だけで生活していた場合、不動産収入を考慮しない】
(東京高裁昭和57年7月26日決定、家裁月報35巻11号80頁)
<妻側の主張>
私の年収(A’)
夫(ヤマト)の年収は、年収703万(自営業換算)とすべき。
理由
給与収入600万は自営業453万に相当(算定表参照)し、そこに不動産収入を加えるべき。
不動産の課税所得から減価償却などを戻すと、調整後所得は約250万。
453万+250万=703万(自営業換算)となる。
以上をまとめると、それぞれの婚姻費用は以下の通りです。
<双方の主張のまとめ>
ヤマトの主張
ヤマトの年収=給与収入600万
婚姻費用=毎月8〜10万円
妻の主張
ヤマトの年収=自営業換算703万
婚姻費用=毎月14〜16万円
私の収入をいくらに設定するかで、婚姻費用は大きく変わってきます。
ちなみに、10月の時点で部長クラスの裁判官が言っていた方法は妻の主張に近いものでした。
その場合は、約15万円になってしまいます。
ヤマト、大ピンチです。
毎月約15万円もの婚姻費用を払うのはかなりの負担です。
婚姻費用に嫌気がさして、早く離婚したいと思ってしまうでしょう。
そうなると、妻側弁護士の思うがままとなるでしょう。
一方、妻は調停をだらだら長引かせて、毎月15万円もの金額を私に支払わせ続けることも可能です。これは現代社会の兵糧攻めであり、夫にとって婚姻費用地獄となります。
ただ、私はやれることはしました。
不眠不休で対抗策を探して、切り札となり得る東京高裁の判例を発見しました。
永田町の国会図書館まで行って、判決文全文を取得しました。
そして、その判例を提出し、部長クラスの裁判官(部長クラス裁判官)に十分強く主張しました。
私の主張が認められれば、婚姻費用は8万〜10万円となるはずです。
ここまでやって主張が認められなかったら仕方がありません。
できることは全てしました。
あとは、座して待つのみです。
(結果が不満なら、東京高裁に抗告します)
さて、どうなる!?
そう考えている間に、5回目の調停の期日が迫ってきました。
さぁ、
裁判官の考えを聞こうではないか!