第4話
妻の状況を警察署に確認すると、妻は弁護士に依頼したことが判明!

離婚相談番外編画像_離婚調停物語_4

妻が出て行って3日目(月曜日)

 

朝、独り目が覚めた。

 

 

寝室には、妻と娘の服が散らばっている。
妻が家を出ていった時のままだ。
まるでさっきまでいたかの様だ。
見るのが辛い

 

 

仕事中は、妻のことを考えないようにした。
仕事に集中しなければ。

 

 

もう何年も同じ仕事内容で慣れているのが救いだ
いや、慣れているからこそ、余計なことを考えてしまう

 

 

仕事中、何度も込み上げてくるため息を押し殺して仕事をこなす。
会社の人には一切話していない。
しかし、とても疲れている様に見えるらしい。

 

 

『疲れているのか?』と聞かれても、笑顔で返すことしかできない。
とてもじゃないが、妻が出て行ったなんて言えない。

 

 

昨日、財産資料を隠すなど離婚対策はした。
これで、妻が勝手に家に入ったとしても安心だ。

 

 

しかし、待てよ。

 

 

そもそも、私が心から望んでいることは何か。
離婚になった時に、条件を有利にすることか!?

 

 

いや、違う。
そんなことは望んでいない。

 

 

一番望んでいるのは、妻が戻ってきてくれることだ。
最悪のケースに備えて離婚対策は必要だが、
今の段階では、離婚対策をする場面ではない。

 

これ以上の離婚対策は、万が一にでも離婚へと話が進んでしまった際に考えよう。

 

 

ふと思いついたことがあった。

 

 

妻はあの後、警察に相談などをしてないか。
あの時に話をした刑事さんが、
何かアドバイスをくれるかもしれない。
妻が戻ってくるヒントが得られるかもしれない。

 

 

昼休み、さっそく警察署に電話してみた。

 

 

今回の件は、刑事課ではなく生活課が担当になったようだ。
担当の警察官に、妻から電話などがあったか聞いた。
問い合わせがあったことは教えてくれた。
ただ、話の内容は言えないらしい。

 

 

そして、警察官が次の言葉を発した瞬間、
私は心臓が止まる様な思いをした。

 

警察官
「近いうちに、
奥様が雇った専門家の方から、
連絡があると思われます。」

 

 

専門家だと!
それって、弁護士か!?

 

 

弁護士が出てくるってことは、
離婚を望んでいるのか?
もう結論を出したのか!
最悪な状況だ!

 

 

というか、行動が早すぎる!
家出して、まだ4日しか経ってないぞ!
妻がこんな迅速に行動できるわけがない!
妻の両親が加担しているに違いない!

 

 

警察官は、それ以上は教えてくれなかった。
電話があったことを伝えてくれても、
夫婦の仲を取り持つことはしないのだな。

 

 

よく考えたら、事件直後に警察署に行った時もおかしいと感じた。
妻の事情を聴くだけで3時間もかかるか!?
多分、妻が荷物を運び出す時間を稼ぐために、私を警察に監視させていたのだろう。

 

 

よく分かった。
民事では、警察は全く頼りにならない!
また1から考え直さねば。

 


 

相変わらず妻からは返事がない。
妻の両親も電話に出ない。

 

 

こうなったら妻の実家に行こう。

 

 

仕事でも同じではないか。
顧客に迷惑をかけた時に最初にすべきことは?

 

解決法を伝えることか?
弁償することか?

 

いや違う!

 

すぐに駆けつけて謝ることだ!
解決法や弁償はその次だ!

 

 

会社を休んで妻の実家に行くことにした。
そのため、上司に休暇取得を申請した。
休む理由は聞かれなかった。
少しほっとした。

 

 

明日妻に会えたら思いっきり謝ろう。
地面に頭を打ち付けて、思いっきり謝ろう。

 

 

家に帰ってからは、翌日妻の実家に行くことを考えていた。
どんなことを話すか考えよう。
もし会えなかった場合に手紙も書いておこう。

 

 

そんな時、ちょうどからの電話が鳴った。
がヤマトのことが心配で電話してきてくれたのだ。

 

 

姉は、姉の夫に事情を話していた。
姉の夫は、私より一回り年上でとても人生経験豊富な人だ。
電話で姉の夫に『妻の実家に行く』と伝えると、とても励まされた。
そして、姉の夫は色々アドバイスをくれた。

 

 

姉の夫は、『奥さんに会いに行く前に、奥さんの両親にショートメールで行く旨を伝えておいた方が良いのでは?』と言った。

 

 

姉の夫のアドバイス通り、義父にショートメールを送った。

 

 

ヤマトから義父へのショートメール

 

先週末の金曜夜中、妻に強い口調で言い過ぎて、大変ひどいことをしてしまいました。

 

妻は育児と、復帰したばかりの仕事の両立で精神的にも肉体的にも余裕が無い状態であることを、一緒にいる私は理解してあげるどころか、余計に追い詰めてしまいました。
妻の大変さを全然理解しておらず、妻を支えられていなかった自分がとても情けないです。

 

私は、お父さま、お母さまにも謝罪したいと考えております。
つきまして、明日の昼2時以降に妻の御実家を訪問させていただければと考えており、お時間をいただければと思います。
お忙しいと思われますが、よろしくお願いいたします。

 

いきなりショートメールにて長文お送りして、申し訳ございませんでした。

 

 

義父からはすぐに返事が来た。

 

 

義父からのショートメール

ご丁寧なメッセージ読みました。
私どもに謝罪されても何の意味もありませんので、お会いしません。
尚、警察がガードしていることを申し添えます。

 

 

警察がガードしているだと!?
そこまでする必要があるのか…。

 

 

会ってくれそうにない。
なんと寂しいことか。
話だけでも聞いて欲しいのに。
直接言葉を伝えることができないなんて。

 

 

私が何をしたっていうんだ。
ただの口喧嘩をしただけだ。
暴力などは全くしていないのだぞ。

 

 

返事の内容を伝えるために、姉の夫に電話をした。
私の話を聞いた姉の夫は、『明日の奥さんの実家訪問は中止しなさい!』と言った。

 

 

何かあってヤマト君が警察に捕まって逮捕なんてされたりしたら、全て失ってしまう。
もし行くとしても、弁護士に相談した上で行くべきだろう。

 

 

妻の夫のとっさの判断だった。

 

 

さすが、姉の夫…。

 

的確なアドバイスをありがとうございます。
私一人で考えていたら、そこまで頭が回らなかった。

 

 

結局、妻の実家へ行くことは保留した。

 


 

妻が出て行って、もう3日が経った。

 

 

夜、家にいるとリビングがとても広く感じる。
静けさが、より一層広く感じさせる。
数日前まで、賑やかな部屋だったのに。

 

 

妻に会いたい。
娘に会いたい。

 

 

風呂上がり、に映った自分を見た。
元気が無いのがすぐに分かった。

 

 

私は、鏡に向かって問いかけた。

 

 

なぜ、こうなってしまったのか。
なぜ、もっと妻に優しくできなかったのか。

 

 

私は、

 

鏡に映った男を、

 

今までで一番憎いと思った。

 


 

妻が出ていって6日目(木曜日)

 

妻はどこにいるのだろう。
元気なのだろうか。

 

 

妻が出て行ってから、仕事に集中できない。
食事も喉を通らない。

 

 

なんでも言う通りするから、
早く帰ってきていて欲しい…。

 

 

この日、仕事から帰ってくると、
なんとなく部屋に違和感があった。
誰かが家に入った様な気がしたのだ。

 

 

妻の荷物が少し減っている。
ダンボールが減っている。
妻の重要書類が全て無くなっている。

 

 

妻が荷物を取りに来たのだ。
私のいない昼間に家に来たのだろう。

 

 

貯金と不動産関係の資料は、
レンタル収納スペースに移しておいて正解だった。
先手を打っておいてよかった。

 

 

できれば、妻に会いたかった。
会って謝ったら、もしかしたら許してくれたかもしれない。
いや、許してくれるまで謝っていただろう。

 

 

妻と娘を想う日々が続いた。

 

 

だが、ついに恐れていた事が起こってしまった。

 


 

妻が出ていって8日目(土曜日)

 

朝、郵便ポストを開けると、
見慣れない封筒が一通入っていた。

 

 

もしかして…。

 

 

誰からだろう。
いや、誰からかはだいたい分かる…。

 

 

心拍数が増えてくる!
が震えてくる!
呼吸も荒くなる!

 

 

封筒を手に取る。
裏には送り元が書いてあった。

 

 

〇×法律事務所

 

 

見た瞬間、頭が真っ白になった。
全身の力が抜けてしまった。
ふと壁にもたれかかってしまった。

 

 

1分程経っただろうか。
乱れた呼吸を落ち着かせて、
必死に現実を受け入れようとしていた。

 

 

この封筒が来た意味は分かる。
平和な内容ではないことは間違いない。

 

 

落ち着け、ヤマト。
少しは覚悟していたではないか。
別に、命を取られるわけではない。
落ち着いて対応しよう。
冷静に。冷静に。

 

 

封筒を握り締め、部屋に戻る。
おそるおそる封筒を開ける。
心臓がドクドク鳴っているのが分かる。

 

離婚相談番外編画像_離婚調停物語_4-2通知書

 

妻側弁護士からの通知書(1通目)

 

お知らせ

 

通知人:妻    
代理人弁護士:  
妻側弁護士A 
妻側弁護士B 
妻側弁護士C 

 

拝啓 貴殿には益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。
さて、下記事項について、以下の通りご連絡申し上げます。

 

【送付書類】

1、貴殿宛通知書 1通

 

以上

 

 

えぇ!?

 

代理人弁護士3名!?

 

 

弁護士が3名も付いているのか!?
どういうことなんだ!?

 

 

徹底的に私を攻めるためか?
あぁ、頭がクラクラしてくる。

 

 

ん?
もう一通入っている…。

 

 

妻側弁護士からの通知書(2通目)

 

前略 当職らは、通知人から委任を受けました代理人として、貴殿に対し、貴殿との婚姻関係の解消について、以下の通り通知します。

 

1、
通知人は、貴殿との婚姻以来、貴殿により人間性を否定するような行為や、暴言暴力がなされてきたことに耐えてきましたが、去る〇月〇日の貴殿の暴挙に直面し、これ以上貴殿との婚姻生活を継続することは到底不可能であると決意するに至りました。

 

2、
上記のごとき暴挙に直面し、通知人は離婚を強く決意しており当職ら専門家を介して、離婚及びその条件等について、貴殿と協議の上、早急に解決することを希望しております。
つきましては、貴殿におかれ、離婚に応じられるのか、その条件は何か、今後協議に応じられる用意があるか等々、本書到達後1週間以内に貴殿のお考えをお聞かせください。

 

3、
なお、協議による解決の見込みがない場合には、やむなく東京家庭裁判所離婚調停を申し立てることになりますので、この点、ご承知おき下さい。

 

草々

 

何なんだ!?

 

この文章は!?

 

 

妻に暴力など振るったことなんて、一度もないぞ!
喧嘩で言い合うことはあっても、一方的な暴言などもしたことはない!

 

 

表現が誇張すぎないか!?
いや、もはやねつ造の域だ!

 

 

私だけが悪いみたいではないか!?
なんという一方的な文章だ!?

 

 

さっぱり理解できない!
なぜこのようなを主張するのか!

 

 

分からない。
ホント、訳が分からない。

 

 

この一週間、
妻と娘が戻って来て欲しいと願っていた。
2日に1度、妻へメールを送っていた。
幸せだった日々に戻りたいと思っていた。

 

 

しかし、この通知書はなんだ!?
完全に、戦闘モードではないか。
もう、修復は無理なのか…。

 

 

とりあえず、私がすべきことは明白だ。
近いうちに妻側弁護士と協議することになる。

 

 

妻が弁護士に依頼した以上、私も弁護士に相談しよう。
そして、離婚に関する知識を付けよう。
現実に向き合って、しっかり考えよう。

 

 

待てよ。
弁護士に相談すればこの問題は解決に向かうのか?

 

 

いや、それはないだろう。
本格的な争いをするのが目的ではない。
問題は、私の意図しない方向に進んでしまっている。

 

 

私はただ、妻に戻って来て欲しいと思っている。
娘に会いたいと思っている。

 

 

しかし、妻は弁護士に依頼して私との離婚を迫ってきている。

 

 

愛する妻が、全力で私を攻めて来る。

 

謝るべきなのか。
戦うべきなのか。

 

 

私はいったい、どうすればいいのだ…。

 

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