第10回 離婚相談
子だくさんだと働けない!養育費・婚姻費用の年収設定
離婚カウンセラーの
ミライです。
婚姻費用や養育費は、お互いの年収で決まるからです。
子どもを養育している側(主に母親)が、働けるかどうかが問題となることがあります。
子どもがいても働くことを前提とした年収設定とするのか。
子どもを育てながら働くのは難しいので、年収ゼロと設定するのか。
今回の相談者は、3人の子どもを連れて別居中だが、夫から『3人の子どもを育てながらでも働けるだろ』と言われている奥さまです。
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≪相談の背景≫
3人の子どもを育てながら働くなんてとても無理…
夫A氏(30代)
会社員
相談者 ※別居中
妻Bさん(30代)
専業主婦
※母と同居
5歳(長女)
幼稚園児
※母と同居
1歳(次女)
幼稚園児
※母と同居
1歳(三女)
夫とは、同じ会社の同期だった。
入社当時から仲が良く、知り合って半年後には交際を始めていた。
交際を初めて5年後、私たちは結婚式を挙げた。
結婚式は、会社の上司・同僚を呼んで盛大に執り行った。
結婚後しばらくして、私の妊娠が発覚した。
私は妊娠を期に、子育てに専念するために退社した。
専業主婦となっていたことで、私は出産・育児に集中できた。
その間、夫は仕事をして家庭を支えてくれていた。
生まれてきたのは、かわいい女の子だった。
そして、4年後。
1人目の育児にも慣れてきた頃、双子を妊娠していることが発覚。
瞬く間に、3人の子どもに囲まれた。
だが、ある日、仕事から帰宅した夫からとんでもないことを打ち明けられた。
夫
『実は、不倫していたんだ…』
私が双子を妊娠中、夫は不倫をしていた。
不倫相手は、夫が同僚とバーで飲んでいた時に出会った女性らしい。
そして、不倫だけならまだしも、不倫相手を妊娠させてしまったというのだ。
不倫相手は、夫が結婚しているとは思ってなかったらしい。
夫が既婚者だと告げると、慰謝料を請求すると言っているそうだ。
もちろん、生むわけにはいかないので中絶するという。
当然、その費用は夫に請求するという。
夫の説明を始めても、私は意味が理解できなかった。
夫が話終わったころには、もう心がここに無かった…。
私は3人育児をして、ここ数年間は休める日などない。
子どもの夜泣きのせいで夜は3時間毎に起こされ、まともに寝た日などない。
ましてや、自由な時間なんて…。
そんな私を顧みず、夫は不倫をしていた。
育児で大変な私を気遣うことなく、コソコソと夜遊びしていたのだ。
そして、自分の欲望を満たすために相手を妊娠までさせていたのだ。
夫から話を聞いた翌日、私できるだけ考えないようにしていた。
しかしその日以降、夫を見るのが段々と嫌になってきた。
気持ち悪い存在としか思えなくなった。
夫の顔を見るだけで動悸がするようになった。
夫が不倫を打ち明けてから1か月後、私は3人の子どもを連れて実家に帰った。夫が仕事に行っている間に、荷物をまとめて引っ越し業者を呼んで、自分と子どもたちの荷物を運び出したのだ。もちろん、夫には実家に帰るとは事前に伝えなかった。
実家に着いて両親に話すと、父は別居に反対だった。
それどころか、『不倫の一度くらい許してやれ』と言っていた。
だが、そんな父に対して、母は必死に父を説得してくれた。
仕事から帰宅した夫はびっくりしたかもしれない。
家にいるはずの妻と子どもたちが、荷物と共にいなくなっているのだ。
何度も電話やメールが来て、謝罪の言葉が綴られていた。
だが、何を言われても戻るつもりはない。
これ以上一緒にいたら私が壊れてしまう。
今後、私は夫のいる家に戻るかは分からない。
このまま離婚してしまうかもしれない。
ただ、今は夫の顔を見るだけで吐き気がする。
夫のことを考えるだけでもストレスが溜まる。
しかし、子どもたちはどう思うだろう。
急に父親と離れ離れになって寂しいかもしれない。
離婚するか、復縁するか。
別居しながらじっくり考えるつもりだ。
翌日、バツイチの友人に相談に行った。
私は、悩みを全て打ち明けた。
バツイチ友人は、私の悩みをとても理解してくれた。
世の中、妻が妊娠中に不倫する夫は多いらしい。
そして不倫がバレると、多くの夫婦は離婚に至るそうだ。
相談の最後に、バツイチ友人は夫への婚姻費用の請求を勧めてきた。
例え別居していても、夫とは婚姻中であることには変わりない。
その場合、収入の高い側(夫)から婚姻費用を受け取る権利があるという。
さすが離婚経験者。
手慣れている…。
実家にいると家賃はかからない。
だが、私と子ども3人分の食費や光熱費がかかる。
子どもたちは育ち盛りで食費が高くつく。
また、成長が早いので、新しい服もどんどん必要だ。
そのため、夫にはしっかりと婚姻費用を支払ってもらおう。
ちなみに、婚姻関係があれば婚姻費用を受け取れる。
離婚したら、養育費を受け取れる。
一般的に、婚姻費用の方が金額は大きい。
婚姻費用は、妻と子どもの生活費を想定している。
一方、養育費は子どもだけの生活費を想定している。
もし離婚すると妻への生活費は必要なくなるので、その分金額が下がるのだ。
私は、婚姻費用がいくらになりそうか調べた。
ついでに、離婚した場合の養育費がいくらになりそうかも調べた。
婚姻費用と養育費は、算定表から簡単に算出できる。
夫婦双方の前年度の年収と、子どもの数・年齢を基にして計算するのだ。
- 夫の前年度の年収は、750万円。
- 私(妻)の前年度の年収は、専業主婦のため無し。
- 子どもは、幼児3人。
算定表を使うと、婚姻費用と養育費はすぐに算出できた。
- 婚姻費用は16〜18万円(別居中)
- 養育費は14〜16万円(離婚後)
これだけあれば、当面生活はやっていける。
さっそく夫に婚姻費用を請求した。
夫の不倫が原因なので、すぐ認めるだろうと思っていた。
翌日、夫からラインが来た。
夫は、婚姻費用を払うことには了承した。
しかし、その金額の設定方法が気に入らないらしい。
夫は、婚姻費用計算する際に私の年収を無しとするのが納得いかないようだ。
夫は、「妻Bが働こうと思ったら、子どもを両親に預けて働ける」と言ってきた。
「年収はゼロと設定するのではなく、パートで働くことを前提とした年収を設定すべきだ」と主張してきた。
もしパートを始めて、時給1,000円・8時間勤務・週5日という条件で働くとすると、私の年収は約200万円になる計算だ。
それを前提にすると、算定表から婚姻費用と養育費は夫の主張は次の通りとなった。
- 婚姻費用は14〜16万円(別居中)
- 養育費は10〜12万円(離婚後)
ここで、夫と私(妻)のそれぞれの主張をテーブルにまとめてみた。
夫の主張 | 私(妻)の主張 | |
---|---|---|
婚姻費用 | 14〜16万円 | 16〜18万円 |
養育費 | 10〜12万円 | 14〜16万円 |
※左記(夫の主張)では、私(妻)の年収は約200万円前提。
※右記(私の主張)では、私(妻)の年収は無し前提。
夫の主張だと、婚姻費用は年収ゼロの前提より約2万円低い。
養育費だと約4万円も低い。
私が想定していた金額と離れている。
そうは言っても、両親に子ども3人預けてパートで働くなどまず不可能だ。
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≪離婚相談の内容≫
3人育児中のシングルマザーが働くのは非現実的
不倫していた夫A氏と別居するため、妻Bさんは3人の子どもを連れて実家に戻った。
妻が夫に婚姻費用を請求すると、夫は妻が働くことを前提とした年収設定を主張した。
妻Bさんは、夫A氏の現実的ではない主張に呆れるしかなかった。
今、夫とは婚姻費用計算で揉めています。夫は、私が働くことを前提とした年収設定を主張しています。
婚姻費用は、お互いの年収と子どもの数・年齢を算定表に当てはめまて決めますよね。夫からすると、私(妻)の年収を高くすると、毎月夫が支払う金額は小さくなるのです。
ただ、夫の主張には納得いきません。3人の子供を育てていますが、とても働けるような状況ではありません。
3人のお子様はまだ小さいですし、常にBさんがいないと何もできないでしょう。
下の1歳児2人はまだ母乳が欠かせませんし、4歳児もいつ熱が出たり風邪を引いたりして幼稚園から呼び出しがあるか分かりません。その様な状況では、雇ってくれる職場があっても仕事・育児を継続することなどまず不可能です。
夫の心の狭さにはうんざりします。別居は夫の不倫が原因なのに、子どものためのお金を惜しむなんて、なんて最低な男なのでしょう。
3人の子どもを育てながら働くことなんて、現実的には無理な話ですよね。
このままでは話し合いで決まらないかもしれません。
私の様に、子どもを持つ母親の年収設定で、婚姻費用や養育費が揉める例って他の人でもありますか?
婚姻費用を設定する際、子どもを育てている母親が働くのが難しいと判断して年収はゼロとするのか、パートなどで働く前提での年収を設定するのかで揉めることはよくあります。
夫としては、妻が働く前提だと婚姻費用が低くなります。
妻としては、妻が働けない前提だと婚姻費用が高くなります。
やはり、他の夫婦も揉めるのですね。
私の場合、もし調停や裁判となった場合、私の年収設定はどうなりそうですか?
結論から言うと、Bさんは年収ゼロの設定で婚姻費用の計算することが認められる可能性はあります。
似た状況での過去の判例を紹介します。
判例の紹介
大阪高裁 |
---|
平成20年10月8日決定 |
家裁月報61巻4号98頁 |
別居後、妻が養育する2人の子どもは幼稚園と保育園に通っていた。 大阪高裁は、 |
熊本家裁 |
---|
昭和53年2月20日決定 |
家裁月報31巻2号142頁 |
妻は教員・美容師・電話交換手などの免許を持っていたが、結婚後は主婦として家事育児に専念していた。 夫と別居後には幼稚園と小学校の子どもを養育していたため、実質的に働くことは不可能と判断して婚姻費用計算での年収を無職のゼロと設定した。 |
今後について
現実的に、子どもを持つ母親が仕事をすることは非常に難しいです。
共働き夫婦が保育園に子どもを預けて夫婦で仕事をしている家庭もありますが、それは夫の助けがあって成り立っています。別居状態では、夫のサポートが期待できないので、例え子どもが1人であっても仕事と育児の両立は難しいです。
そもそも、3人が同じ保育園、もしくは近い距離の保育園に預けるのは現実的ではありません。1人でも待機児童となれば、働きに出るのは不可能です。保育園事情からも、3人の幼児を世話しながら働く事は現実的に難しいです。
そして、幼児期は幼児を家庭で育てている家庭が多いという現実もあります。
なるほど。
裁判となれば認められる可能性はありますね。
かといって、話し合いで解決しなければ調停や裁判か…。
それはそれで大変ですね…。
できれば話し合いで解決したいですね。
そこで、提案ですが子どもさんの写真や動画などを、旦那さまに積極的に見せるようにしてはどうですか?
えっ!?
子どもの写真や動画を!?
これだけ言い争っているのに、気持ちが進まないのですが…。
今別居中の旦那さまの心境になって考えてみましょう。
今旦那さまは、とても寂しい想いをしています。
部屋には、Bさんや子どもさんの生活の跡が残っているでしょう。そんな部屋を見ると、寂しさMAXな精神状態なはずです。
その状態で、子どもさんの写真などが送られたらどう思うでしょうか?うれしいに決まっています。
まぁ、確かに喜ぶでしょうね。
同時に、旦那さまに『私の年収をゼロとしての婚姻費用を計算してほしい。元気に育っている子どもたちの写真を定期的に送りますので』と伝えてみてはどうですか?
大切なお子さまの写真を見て、旦那さまはBさんからの婚姻費用請求を拒否するなどできるでしょうか。きっと、子どもたちにとって十分な生活費を払ってくれるはずです。
なるほど!
ゴリゴリ主張するのではなく、相手が払いたくなるような気持ちにさせるのですね!
確かに、写真や動画を見せられたら断ることなんてできないですよね!
ミライさん。
ありがとうございます!
頑張って下さい!
応援しています!
婚姻費用や養育費の計算で、幼い子どもを持つ母親の年収はゼロとなる!
ただし、写真や動画を送るなどして夫が払いたくなるように持ち掛けよう!
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