最終話
ついに離婚成立!私にも未来が見えた!

あれは、もう10年前のこと。

 

 

私は、大学卒業と同時に上京し、
東京暮らしが始まった。

 

 

昔からずっと東京に憧れていた。
初めて渋谷109を見た時は、心の底からドキドキした。

 

 

ただ、東京にはなかなかなじめなかった。
彼氏という存在も、なかなかできなかった。
会社と家の往復で、出会いの機会がほとんど無かったのだ。

 

 

新卒で入社した会社は、周りは女性だけだった。
社外の人と接することなどほとんど無かった。
都会で生活してるのに、出会いは全く無かった。

 

 

そんな私に、ある転機が音連れた。

 

 

社会人3年目の頃、
会社の先輩から飲み会に誘われたのだ。
いわゆる、3対3の合コンだ。

 

 

私はそれまで、合コンに行ったことが無かった。
人見知りする性格なので、誘われた時は不安だった。

 

 

だが、このままでは出会いがない。
異性との出会いを期待して、参加することにした。

 

 

その合コンで、ある男性と仲良くなった。
何度か食事に行ったり、一緒に喫茶店で勉強をしたりした。
そんな私たちが付き合うのに、時間はかからなかった。

 

 

出会って2年後、私たちは都内で結婚式を挙げた。
会社の同僚・友人らを呼び、みなに祝福された。

 

 

毎日が幸せだった。
毎日が100点満点だった。

 

 

例え職場で仲間はずれにされても、
同僚に出世で差をつけられても、
家に帰れば愛する夫がいる。

 

 

どんなにイヤなことがあっても、
がいれば乗り越えられた。

 

 

どんなに辛いことがあっても、
家に帰って夫に抱きしめてもらえば
また次の日も頑張れた。

 

 

入籍して2年後に息子が産まれた。
夫に似ているが、ちゃんと私の面影も受け継いでいる。

 

 

新たな生きがいができた。
夫と息子に囲まれた幸せは、ずっと続くと思っていた。

 

 

だが、人生はうまくいかないもの。
幸せの絶頂のその先は、下り坂となっていた。

 

 

出産後、私はセックスレスで悩んだ。
女性としての自信が失われかけていた。

 

 

セックスレスの原因は、残酷なものだった。
夫は、私と息子を裏切って不倫していた様だ。
夫のパソコンに残された、『ラブホテル』の検索結果が全てを物語っていた。

 

 

夫の不倫疑惑を見つけてから、私は許せなかった。
だが、夫を問い詰めると、夫は私に暴力を振るうようになった。

 

 

あとは、離婚まで一直線だった。

 


 

今、目の前には離婚届がある。
夫のサイン済みの離婚届だ。

 

 

離婚条件を記した合意書もある。。
私が記入して提出すれば、ついに離婚成立だ。

 

 

東京に出てきて10年。

 

 

就職。

 

毎日の仕事。

 

出会いと交際。

 

結婚。

 

結婚生活と出産。

 

そして・・・離婚

 

 

この10年間の出来事が、
つい最近の様に頭に浮かんできた。

 

 

東京に出てきて、結婚した。
そして、私は離婚する。

 

 

もう過去には戻れない。

 

 

だが、私にはカワイイ息子がいる。
これからは、息子と2人で生きていこう。
この子は、私が命に替えても幸せにしよう。

 

 

私は、迷うことなく離婚届にサインした。

 

 

約10ヶ月。

 

 

これは、夫と別居してから離婚が成立するまでの期間。

 

 

それまで、何気ない生活を送っていた専業主婦だった。
それが、夫と離れて娘と2人暮らしとなった。

 

 

もし、夫の不倫疑惑を見つけなかったら…。
もし、夫の不倫疑惑を問い詰めなかったら…。
もし、夫の暴力に耐え続けていたら…。

 

 

もしかしたら、今も専業主婦だったかもしれない。
だが、それは偽りの幸せでしかない。
ずっと後ろめたい思いを抱えたまま生きていただろう。

 

 

離婚して正解だった。
今は明るい未来しか見えない。

 

 

ただ、不倫発覚か離婚までを振り返って考えると、いくつか反省すべき点がある。

 

 

自分なりには、その時々で、最も良い対応をしてきていたつもりだ。
それでも、『あの時こうしておけばよかった』と思えることがある。

 

 

私が思う位に、大きな反省点は3つだ。

 

≪反省点@≫2人きりで話し合わない

 

1つ目の反省点は、『2人きりで別居や離婚の話し合いはしない』だ。

 

 

私は、夫の帰宅時に2人きりで家にいるとき、『別居します』と宣言しました。
その時の夫の反応は、謝罪でも反省でも主張でもなく、暴力だった。

 

 

手荷物カバンに始まり、家のあらゆるモノを投げつけてきた。
私は、身を守るのに必死でしたがアザができた。

 

 

もし、当たり所が悪かったら大変ことになっていたでしょう。

 

 

夫婦間で、離婚や別居の問題が起こると、力で制しようとする人がいる。
特に、感情的になった男性がそうだ。

 

 

普段はたとえ温厚で落ち着いた人でも、急に別居や離婚を宣言されてパニックになって何をするか分からない。

 

傷害事件殺人事件の多くは、家庭内で問題で発生しているのが現実だ。

 

 

こう考えると、別居や離婚の話し合いは、家で2人きりでするのは危険だ。
できるだけ、人の目に触れる場所で話し合うべきだ。

 

 

離婚の話し合いは、2人だけでするのは必ず避けるのが鉄則だ。。

 

≪反省点A≫不倫の証拠集めをすべき

 

2つ目の反省点は、『不倫を疑ったときは証拠集めをすべき』だ。

 

 

私は、夫が怪しいと思ってすぐに夫を問い詰めた。
このことは、今では後悔している。

 

 

夫が普段使っているパソコンでは、検索履歴で『ラブホテル 渋谷 安い』と出てきた。
私はこの時点で夫の不倫をほぼ確信した。

 

 

だが、この後の私の行動はまずかった。
つい、感情的になって夫を問い詰めたのだ。

 

 

これは、私にとって最大の反省点だ。
ぐっと我慢して、まずは不倫の決定的な証拠を集めるべきでった。

 

 

ラブホテルの検索履歴だけでは、まず証拠とはならない。
決定的な証拠とは、実際に不倫相手とラブホテルや自宅に出入りする写真だ。

 

 

決定的な証拠が無ければ、どれだけ相手が悪くても慰謝料は取れない。
逆に相手は、証拠が無いと分かると強気に出てくるだろう。不倫していたくせに。

 

 

配偶者の不倫疑惑が出てきたら、早めに証拠は掴んでおくべきだ。

 

 

決して、相手の逃げ読を許してはいけない。

 

 

ただ、不倫の証拠を得るのは簡単ではない。
ラブホテルに出入りする写真など、素人には撮れない。

 

 

そうなると、探偵社に依頼する必要がある。

 

 

もちろん、探偵社に依頼すると、費用がかかる。

 

 

だが、安心してほしい。
不倫慰謝料の相場は100〜300万円なので元は取れる。
さらに、婚姻費用や親権などの離婚条件も有利になりやすい。

 

 

ちなみに、
『配偶者の帰宅が遅くなった』
『朝帰りが続く』
『最近スマホにパスワードをかけた』

などは、どう考えても不倫の兆候だ。

 

 

最後に、私が離婚で悩んでいる時に聞いた名言を紹介します。
探偵に依頼するか悩んでいる時点で、だいたい不倫していますよ!

 

 

 

≪反省点B≫離婚の知識・ノウハウを得る

 

3つ目の反省点は、『離婚の知識・ノウハウを得る』だ

 

 

離婚は、ほとんどの人にとって人生初のイベントのはず。
知識も経験も全く無くて当然だ。

 

 

ただ、いざ離婚に直面すると、冷静な判断などできない。
むしろ、盲目的な判断をして状況はより悪化する。

 

 

そんなときは、離婚の専門家に話を聞くべき。
弁護士、離婚カウンセラー、離婚経験者など。

 

 

一方、仲良い友人などではいけない。
具体的なアドバイスは期待できない。

 

 

私の場合、仲良い従姉が別居直後であった。
また、その従姉に離婚カウンセラーを紹介してもらった。

 

 

もし、周りに離婚に詳しい人がいない場合、離婚専門家の参考書を読むべきだ。
離婚の実態を知ることで、貴重な知識・ノウハウが身に付く。

 

 

これさえ読めば、弁護士は必要ない!

 

 

 

 

離婚して半年後。

 

私は実家の近くのワンルームアパートを借りた。
そこで、小学生になったばかりの息子と2人暮らしをしている。

 

 

当初は、実家に住もうかとも考えた。
だが、いつまでも両親に頼りっぱなしではいけないと考え、敢えて家を出た。

 

 

私は、正社員の仕事をしながら、息子を小学校への送り迎えもしている。
どうしても都合がつかないときは、両親に助けてもらっている。
父も母も、喜んで孫の面倒を見に来てくれる。

 

 

離婚して、毎日が忙しくなった。
こんなに忙しい毎日は初めてだ。
仕事と子育ての両立がこんなに大変だなんて。

 

 

古いワンルームマンションに、子供と二人暮らし。
夫と一緒だった頃から、生活レベルもかなり落ちた。
自由な時間など、完全に無くなった。

 

 

だが、今の生活は充実している。
もう夫にビクビクしながら生きなくても良いのだから。

 


 

離婚後の生活が落ち着いた頃、従姉のYさんに会った。
従姉Yさんは、私より一足先に離婚が成立していた。
私にとっては、先輩シングルマザーだ。

 

 

私は、離婚後の現状を話した。

 

 

5年ぶりに、正社員の仕事を始めたこと。
たまに両親に子どもの世話をしてもらっていること。
そして、今までの育児に仕事が加わって大変になったこと。

 

 

従姉Yさんは、離婚後も正社員の仕事を続けている。
もう夫には頼れないので、1人で子ども2人の世話をしている。

 

 

さすが従姉Yさんだ。
一人で2人もの子どもを育てているなんて。

 

 

やはり従姉Yさんはパワフルだ。
私はとても従姉Yさんにはかなわない。
だが、従姉Yさんを見ていたら、私ももっと頑張ろうと思った。

 

 

従姉Yさんは、私との別れ際にふとつぶやいた。

 

 

従姉Yさん
「まおちゃん、元気そうで安心した。
離婚したまおちゃん、とても強く見えるよ!

 

 

従姉Yさんも私も離婚した。
お互いシングルマザーだ。

 

 

これから色々な苦労があると思う。

 

 

だが、私は離婚を通して強くなった。
大好きな我が子のためなら、どんなことでも乗り越えられるはず。

 

 

従姉と別れてから、
息子と公園で遊んでいた。

 

 

元気に遊ぶ息子に、そっと話しかけた。

 

 

これからはお母さんと2人の生活だね。
大変なこともたくさんあるかもね。

 

 

だけど、
2人で頑張って生きていこうね!

 

 

シングルマザー_1

 

(完)

 

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