第6話
離婚を決意！離婚は人生の再スタートだ！
離婚カウンセラーと弁護士は異なる。
両方とも離婚の相談を受け付けている。
だが、弁護士が法的な解決を目指すのに対して、離婚カウンセラーは夫婦間の心理や考え方などを元に解決を目指すことを専門としている。
俺は、『どうやって解決しよう』というより、『どう心を整理したらいいだろう』と悩んでいた。
そのため、弁護士ではなく、離婚カウンセラーに会うことにした。
離婚カウンセラーのミライです。
今日はどうされましたか？
よろしくお願いします。
実は、（…説明約10分…）という状況なのです。
なるほど。
奥さまが家出されて、妻子に会えない。
さらに、婚姻費用の支払いで生活が苦しいのですね。
そして今になって奥さまに不倫疑惑が出てきた、と。
まず、婚姻費用のせいで生活は散々な状況です。
家賃4万円代の部屋に引っ越して、食費やら色々削っています。
それでも、貯金はまったくできないです。
婚姻費用は、制度として決まっているので仕方ありません。
その制度があることを前提として、それにどう対応していくかを考えるべきです。
確かに。
では、私は妻との離婚は可能ですか？
婚姻費用が苦しくて、早く離婚したいと思ってます。
しかし、妻側弁護士は、『別居の原因は夫の暴力・暴言だ』と主張しています。
そのため、私からは離婚請求できないと言っていますが…。
暴力も暴言も、しゅうごさんがやってないなら当然証拠がありません。
『シェルターに行った』と言っているそうですが、裁判となると裁判官は慎重に判断するでしょう。
暴力をしていないなら、証拠が無いので堂々としていましょう。
妻の不倫が認められる可能性ってありますか？
正直、今から奥さまの不倫が認められるのは難しいでしょう。
不倫が認められるのは、2つの条件を満たす必要があります。
- 不倫相手と複数回肉体関係を持った（セックスした）
- 不倫が原因となって夫婦関係が破綻した
元カレC氏と不倫関係であっても、『別居後に復縁した』と言われれば、どうしようもありません。
あと、考えたくは無いのですが、もし子どもが私の子どもではなかったらどうなりますか？養育費は支払わなくて済むのですか？
残念ながら、出産後1年以上経過した時点で、戸籍上の父が確定します。その後は、どうやっても覆すことはできません。
なるほど。
まぁ、さすがに、子どもは私の子どもだと思いますけど。
あと、妻の両親はひどいと思いませんか？
どこまで事情を知っているか分かりませんが、妻の味方をしているでしょう。
『またこちらから連絡する』と言ったきり、結局連絡してきませんでした。
しゅうごさんとしては納得できないかもしれませんが、これは一般的な反応です。
奥さまのご両親からすると、例え娘が喧嘩で家出してきても、不倫相手がいて家出していても、一番大切なのは娘なのです。どれだけ娘さんに非が有っても、最後まで助けるのが親というものなのです。
もちろん、奥さまのご両親も悩まれたと思いますよ。
しかし、親というものは、例え我が子が悪であっても守ってしまうのです。
なるほど。
確かに、例え子どものためなら何でもできます。
最後に、私の場合、まだ妻との復縁への可能性はありそうですか？
それとも、離婚しかないでしょうか？
しゅうごさんの様な状況だと、ほとんどの人は離婚を選びます。
たまに復縁する方もいますが、結局は離婚されています。
えっ！？
復縁を選んでも結局離婚するのですか？
その夫婦には、何が起こったのですか？
弁護士に依頼して通知書を送ったり婚姻費用を請求したりするということは、一度は配偶者と本気で離婚しようとしたのです。そして、お互い相当ストレスを感じたはずです。
一度そのような状況になると、双方ともに相手に不信感ができるのは当然です。
例え情で復縁したとしても、決して元の関係になど戻れません。
つくづく人間とは複雑な生き物だと実感させられます。
なるほど。
どんな夫婦でも、本気で喧嘩したら、もう元には戻れないってことですね。
しゅうごさんの話を聞いていると、妻との復縁へ望みは情でしょう。
しかし、いざ目の前に奥さまが現れたら、以前の様には接することはできますか？
しゅうごさんは、復縁に向けてできることは十分したと思います。
もう気持ちを切り替えるべきだと思います。
・・・。
それに、別居開始から3年は経過されたのですよね？
一人暮らしにも慣れて、婚姻費用も辛いでしょう。
いま離婚成立を望んでいるのは、しゅうごさんの方じゃないですか？
まさにその通りです。
別居直後は復縁一択だったのですが、別居3ヶ月を超えた頃からは離婚も選択肢に入ってきました。婚姻費用が辛くて辛くて。
しゅうごさんの場合、典型的な婚姻費用地獄ですね。
奥さまが出て行って、お金だけを延々と払わされ続けるという…。
別居して3年も経ちましたし、離婚の覚悟もできています。
それにしても、俺はバツイチになるのか…。
うまく離婚できたとしても、その後どうしよう…。不安だ。
しゅうごさん。
バツイチなんて世の中たくさんいます。
なんなら、バツ2もバツ3の方もたくさんいます。
みな、元気にされてますか？
俺、絶対過去にとらわれそうです。
『どうせバツイチだから…』とか考えそうです。
しゅうごさん！
離婚したらバツイチは変えられません！
むしろ、バツイチをバネに頑張るべきです！
どういうことですか？
人は、大きな悩みがあればあるほど、『いつか見ていろよ！』と考えて通常以上のエネルギーを発揮することがあるのです。
例えば、ハゲ・デブ・チビは男性の三大悩みだと言われていますが、その様な人こそ何かで成功する可能性を秘めてるのです！
人はコンプレックスが大きい程、
それが人生のエネルギーとなるのです！
なるほど。
離婚をバネに頑張れ、ということですね！？
当然です。
まだまだ何十年も人生が残っています。
3年も婚姻費用地獄に耐えたのですから、しゅうごさんは何だってできるはずです！
ミライさんの話を聞いて、やる気がでてきました。
私にも、未来が見えてきました
まだまだ人生長いし、仕事もプライベートも頑張ります。
頑張ってください！
応援しています！
帰り道、一人で妻との思い出を振り返っていた。
妻との出会い。
デート。お泊り。告白。
新婚旅行。結婚生活。
そして、子どもの誕生。
全てが幸せだった。
この幸せは一生続くと考えていた。
だが、人生に絶対など無かった。
しゅうご
「人生、上手く行かないな…」
だが、このままではずっと人生停滞だ。
先が見えないなら、もう過去を振り切ってしまおう。
ミライさんも言っていたではないか。
例えバツイチを背負っても、
バツイチをバネに頑張ればいいのだ。
まだまだ人生これからだ。
もう迷いはない。
離婚は終わりではない！
俺にとっては、離婚は再スタートだ！
次の日、さっそく妻側弁護士に電話した。
そして、開口一番、『妻との離婚を請求します』と伝えた。
俺の言葉を聞いた弁護士は、離婚についてははぐらかし、引き続き婚姻費用の支払いを要求した。
ただ、俺はもう今までの俺ではない。
妻側弁護士に、
『暴力・暴言などしていない事』
『別居から3年経っていて離婚が認められること』
『妻が元カレと懇意であること』
に言及した。
妻側弁護士は、その場での電話を切り上げた。
翌日、妻側弁護士から電話があった。
妻は、『離婚に応じても良い』とのことだった。
あぁ、やっと離婚できる。
やっと、婚姻費用から解放される。
思えば、この3年間は婚姻費用に苦しみ続けた。
妻が突然別居し、それから3年間別居生活を続けた。
その間、ずっと婚姻費用として毎月14万円を支払い続けたのだ。
妻と、やっと離婚できる。
やっと婚姻費用から解放される。
婚姻費用の支払いは、正直キツかった。
妻との復縁を望んでいたため、婚姻費用はキチンと支払っていた。
だがそれは、自分自身の生活を苦しめることになっていた。
しかも、後から分かったことだが妻は元カレと不倫状態だったぽい。
実家で余裕ある暮らしをし、元カレと親しくし、俺からは婚姻費用を搾り取っていた。
俺は、知らぬ間に婚姻費用地獄にハマっていたのだ。
別居当初は、自分にとって最善の方法を取ったと思っている。
だが、後になって『あの時こうしておけばよかった』と思うことがある。
今だからこそ、反省すべき点が思い浮かぶ。
いま別居や離婚に直面している人に、私の反省点を2つを伝えたいと思う。
① 怪しいと感じた時は早めに調べる
妻の行動について、怪しいと思った時点で早めに調べておくべきだ。
俺は、妻の育児の気晴らしのための週末朝帰りを何度か許していた。
だが、妻は裏では元カレと懇意になってしまっていた。
そのことが、妻の家出に影響したのは間違いないだろう。
夫婦関係で問題が発生したら早めに解決すべきだ。
そのうち何とかしようと思っていると、急に事態が進展して取り返しがつかない状態へとなってしまう。
特に、相手に不倫疑惑があった場合、証拠は早めにつかむ必要がある。
証拠とは、ラブホテルに出入りする写真が定番だ。
もたもたしていると、証拠をつかめなくなってしまう。
証拠をつかんでいなかった場合は、どれだけ説明しても慰謝料は取れない。
相場で100～300万円もの慰謝料が受け取れないのは痛い。
相手の逃げ得にならない様に、不倫の証拠は早めに掴んでおくという意識が大切だ。
ちなみに、『配偶者の帰宅が遅くなった』『朝帰りが続く』『最近スマホにパスワードをかけた』などは、どう考えても不倫の兆候です。
②資産は無料一括査定で高く売れる！
離婚する時は、夫婦で築いた資産を2人で分けることになる。
貯金は、婚姻期間に増えた分を均等に分ける。
一方、家（不動産）、車、家具は売却することが多い。
俺は車を売却することになった。
その際、一括査定に依頼して複数業者から売却見積もりを出した。
その中で、最も高い金額を出してきたA社に売却した。
A社と最も金額が低い業者との差は30万円にもなった。
車で30万円も差が出た。
もし家を売ることになっていたら、いったいいくら差が出るのか想像できない。
100～200万円などの差は簡単に出るのではないか。
家をできるだけ高く売却するためには、一社にだけ売価を聞くのはダメだ。
必ず複数社に価格査定を取って、最も有利な条件で売却を進めるようにすべきだ。
ネットでは、無料で複数業者に一括査定を取れる便利なサービスがある。
できるだけ高く売るためにも、ぜひ無料一括査定を活用したい。
離婚問題に直面している人に伝えたい。
離婚は大変だ。
離婚問題の間はとても辛いはず。
だが、離婚問題が解決すれば明るい未来が待っている。
離婚は終わりではない！
人生の再スタートなのだ！
離婚成立後。
俺は妻との思い出を整理していた。
妻との写真、手紙や年賀状、結婚式の招待状など。
思い出を、段ボールに入れて固く固く封印するためだ。
ふと、料理用のプラスチックケースが目に入った。
このケースには、引っ越しの際にベッドの枕元に残されていた妻と子どもの髪の毛が保存されている。
このケースの中には、
妻と子どもの髪の毛がある…。
これがあれば…、
子どもが、本当に俺の子かどうかが分かる…。
だが、次の瞬間、
俺は笑いながらケースを手に取った。
ふふふ。
俺は、何を考えているのだ。
どう考えても、子どもは俺の子どもだよ。
俺は、ケースの中身を水で洗い流した。
（完）
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