第16回 離婚相談
退職間近の夫と離婚したい…
離婚カウンセラーの
ミライです。
サラリーマンが退職する際、退職金を受け取ります。
退職金は、数百万〜数千万円になる可能性もあります。
50代前後で離婚を考えている奥さまの多くは、夫の退職金を期待しています。
少しでも多くお金を得て、老後の生活費にしたいと考えるのは当然でしょう。
今回の相談者は、2年後に定年退職予定の夫との離婚を考えている奥さまです。
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≪相談の背景≫
夫の定年退職まであと2年も耐えられない!
夫A氏(50代)
会社員
(相談者)
妻Bさん(50代)
専業主婦
25歳(長男)
社会人
23歳(長女)
社会人
私は、主婦仲間のCさん・Dさんといつもの喫茶店で話していた。
主婦仲間Cさん
「で、どうなの?
離婚の準備は進んでいるの?」
私
「う、うん。
Cさんに言われた様に準備進めているよ」
この1年間、3人の話題はもっぱら私の離婚計画だ。
主婦仲間Cさんは、同い年でバツイチだ。
5年前に高収入の夫と離婚して、財産分与で大金を得た。
いまは、セレブマダムとして、大学生の娘とペットのプードルと一緒に暮らしている。
主婦仲間Dさんは、3歳年下でパート勤務。
子どもが独立してから夫と2人暮らしだが、完全に家庭内別居状態。
主婦仲間Cさんと主婦仲間Dさんが、私の夫婦関係に興味を持つのは当然だ。
主婦仲間Cさんは、自分の経験を伝えたいと思っていた。
主婦仲間Dさんは、いつか自分も離婚する時の参考にしたいと思っていた。
私が夫との離婚を決意したのは、約1年前だ。
元々プライドが高かった夫は、仕事がうまくいかなかった日は機嫌が悪かった。
酒を飲んで私に当たることで、ストレスを発散していた。
結婚当初はまだマシだった。
機嫌の悪くなる日はほとんど無かった。
だが、40歳を過ぎてからは、機嫌の悪い日が増えて行った。
会社では、40を過ぎると出世コースに乗っているかどうか完全に分かれてくる。
夫は、ある大きなプロジェクトでの失敗がきっかけで出世コースから外れてしまった。
50歳になる頃には、毎日酒を飲んで妻に当たるようになった。
10年以上前に散々叱りつけていた部下が出世して、なんと夫の上司になってしまったのだ。
プライドの高い夫は、そんな現実を受け入れられない。
しかし、家族の生活のために、その元部下の元で働かざるを得なかった。
幸いその元部下は仕返しで夫を叱りつけたりはしなかった。
だが、その元部下の大人な対応が、さらに夫の心を傷つけていた。
夫は、毎日酒を浴びるように飲んで、私に怒鳴り散らすようになった。
私への非難や嫌がらせをして憂さ晴らしをしている様だった。
私は、最初は夫の辛さを受け止めていた。
夫は、どんなに辛くても会社に行って家族を支えている。
何を言われても、どんなに罵倒されても、夫に寄り添っていた。
だが、さすがに毎日続く暴言やモラハラには耐えられるはずがない。
食欲がなくなり、体重が5キロも減ってしまった。
病気になることも増えた。
さすがにおかしいと気付いた主婦仲間の勧めで、精神科医に行った。
診察の結果、私はうつ病とPTSD(心的外傷後ストレス障害)と診断された。
日々のストレスが、私の精神を蝕んでいたのだ。
診断結果を見た主婦仲間2人は、言葉を失っていた。
そして、必死で私に離婚を勧めた。
今まで私は、別居も離婚たこともなかった。
そんなこと言ったら夫の期限がますます悪くなってしまう。
だが、主婦仲間2人は、そんな私に説得を続けた。
夫が異常なんだよ。
夫の元から離れるべきだよ。
最初は耳をふさいでいたBさんだった。
しかし、主婦仲間の強い説得で私は離婚を考えだした。
だが、専業主婦の妻Bさんは簡単には離婚できない。
離婚すると、仕事を始めなければ生活できない。
50代の私は、老後のことも考え始めなければならない。
そうなると、お金は必要だ。
子どもは独立しているので、夫から養育費はもらえない。
年収も高くないし、そもそも払うことを期待できない。
そのため、財産分与だけが頼りだ。
主婦仲間Cさんは、私に離婚に向けたアドバイスし始めた。
財産分与できちんとお金をもらうには、何より準備が重要だ。
この1年間で夫の管理する銀行口座を把握できた。
2つの銀行と1つの証券会社に口座がある。
それぞれの支店名も把握した。
これで、夫が財産を開示しなくても、弁護士会照会か裁判所の調査嘱託で明らかにできる。
だが、財産について調べていると、あることが気になった。
夫は、あと2年で60歳となる。
夫の会社は60歳が定年だ。
そうなると、退職金が支払われることになる。
夫は、定年を迎えると38年間勤務したことになり、それなりの退職金をもらえるだろう。
婚姻期間中に増えた資産は夫婦共有のものであるならば、この退職金も財産分与の対象にしたい。
もし対象になるなら、約半分は25年一緒だった妻Bさんのお金でもある。
近い将来もらえる退職金はどうなるのか。
主婦仲間のCさんDさんに聞いてみた。
主婦仲間Cさん
「私が離婚した時、まだ夫は40歳だったから退職金の話は出なかったなぁ」
主婦仲間Dさん
「Bさんの旦那さんはかなり退職金もらえそうね。
退職するのが目の前なのだから、是非欲しいわね。
一度、弁護士に相談してみたら?」
退職金は、大きな金額になる。
老後の生活のためにも適当には決められない!
あぁ、私の老後はどうなるの!?
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≪離婚相談の内容≫
定年退職間近でも退職金は財産分与の対象となり得る!
相談者妻Bさんは、定年退職間近の夫との離婚を考えている。
今すぐにでも離婚したいが、2年後に退職金が1,000万円以上入ってくる。
退職を待つべきか、今離婚しても財産分与の対象となり得るか悩んでいる。
私みたいに、夫が退職間近で夫の退職金が入ってから離婚を考えている女性って多いでしょうか?
はい、とても多いです。
熟年離婚を検討している女性は、間違いなく退職金問題に遭遇します。50代60代の離婚では、老後が近づいているのもあり、じっくりとお金の話し合いに臨む人が多いです。
Bさんの場合、旦那さまと早く離婚したいというのは、旦那さまからの暴言やモラハラがよほど酷いということでしょうか?
ほんと、暴力・暴言などひどいです。
もう、これ以上耐えられません。
夫は、毎日起きてから、出社前、帰宅後、夕食中、就寝前など、常に私を非難していなければ済まない様なのです。毎日、夫が帰宅するのをビクビクして待っている状況です。できれば、今すぐ離婚したいくらいです。
問題は、夫の定年退職が2年後なのです。退職金はほぼ確実に入る予定ですが、今離婚してしまったら取り逃してしまうのではないかと思って、踏み切れていません。
旦那さまは、2年後に退職予定なのですね。
どのくらいの退職金が入るかはご存じですか?
夫は、大学を卒業してから同じ会社で38年間働いてきたので、退職金はかなりの金額がもらえそうです。本人は、『退職金は1,000万円くらいだろう』と言っています。
もし退職金が入ったあとに離婚したら、この退職金の半額である500万円は財産分与で私のモノとなるでしょう。
しかし、定年退職が2年後に迫っていて金額も大体わかっていても、現時点でお金が手元にあるわけではありません。だから、今離婚してしまったら500万円を逃してしまうと思ってすぐに離婚することを思いとどまっています。
旦那さまの退職まで、あと2年なのですね。
実際、Bさんも様に、夫の退職を待って離婚を切り出す女性はとても多いです。
ただ、私はもうこれ以上夫との同居生活は無理です!心が持ちません。
夫に何回も『もう言わないで』と言ってもモラハラは止まりません。
現時点で離婚したら、夫の退職金の財産分与は諦めなければならないのですか?
まず、結論から言いますが、退職を控えた夫の退職金は財産分与の対象になるでしょう。ただ、夫側の意見としては、「まだ支払われてないからゼロとして計算すべき」と主張する人もいるかもしれません。
しかし、そもそも退職金とは、『事後的に支払われる労働の対価』であり、通常の給料と同じように配偶者の寄与も考慮されるので、財産分与の対象になります。そして、まだ労働者の手元に無いだけで、積立中の退職金の所有権は労働者にあるのです。
ただ、退職金が財産分与となるとしても、様々な問題があります。
- 数年後に支払われる退職金は、まだ金額が決まっていない。
- 定年まであと何年までなら、退職金を財産分与の考慮範囲となるのか。
- 数百万〜数千万円にもなり得る金額を、退職金が入る前に払うことができるのか。
この様に、退職金に関する疑問は、非常に複雑なのです。
似た状況での過去の判例を紹介します。
判例の紹介
名古屋高等裁判所 |
---|
平成21年528月日判決 |
判時2069号50項 |
同居22年、夫が定年退職まで15年以上ある夫婦で、離婚に際して妻が夫の退職金の財産分与を求めた。
名古屋高裁は、『退職金と退職年金は同居期間に対応した部分は共有財産になる』という判断を示した。 |
東京地方裁判所 |
---|
平成11年9月3日 |
判例タイムズ1014号239項 |
同居26年、夫が6年後に定年退職予定の夫婦で、妻が夫が受け取る予定の退職金を財産分与として請求した。
裁判所は、 |
東京高等裁判所 |
---|
平成10年3月18日 |
判事1690号66項 |
同居16年、夫が2年後に定年退職予定の夫婦。
第一審・控訴審ともに、『退職金を受領した際にその約2分の1を支払うべき』としたが、妻からの分与もあることからそれらを考慮し、『退職金受け取り時に500万円を支払え』とした。 |
今後について
定年退職前でも退職金が財産分与になるでしょう。
かなり気が楽になったのではないですか?
はい、ホッとしました。
もう、一刻も早く夫と離婚したいのです。
ただ、どっちの方が良いのでしょうか。
・退職金が入るのを待ってから、財産分与を受け取る?
・もらえる分を推測で計算して、離婚時に受け取る?
私は、今計算して離婚時に受け取ることをオススメします。
それは、なぜですか?
離婚する相手からは、取れるうちに取っておくのが鉄則です。
旦那さまが払う意思があるうちにさっさと払わせた方が確実だからです。
これはどんな人にも当てはまることですが、今退職金の財産讃分与に合意しても、2年後に退職金が入った際に払わずに済む方法を探し始めるのです。
旦那さまとの離婚交渉時、当初は退職金の半額である500万円を支払うつもりだったとしても、2年も経てば音信不通となっている可能性があります。また、なんとか逃げ切ろうと考えているかもしれません。浪費してしまうという可能性も排除できません。
確かに、離婚時に全ての清算が終わっていれば、離婚後は夫と連絡を取り合う必要はないですものので。
ありがとうございました。
頑張ってください!
応援しています!
定年退職前の退職金は財産分与の対象となる!
できれば、もらえる分を推測して離婚時に受け取ろう!
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