第13回 離婚相談
大学に合格したが20歳以降の養育費はどうなる?
離婚カウンセラーの
ミライです。
今や大学進学率が50%に迫り、20歳の約半分は大学生です。
多くの場合、養育費に関しては子どもが成人する20歳までと決めていることが多いです。
もし、養育費が成人となる20歳で終わってしまったら、大学生活を卒業まで続けることは金銭的に難しくなります。
今回の相談者は、離婚後に父親からの養育費で生計を立てている大学進学予定の息子さんです。
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≪相談の背景≫
大学生活中に養育費が止まると困る…
元夫A氏(50代)
会社員
元妻Bさん(40代)
派遣社員
(相談者)※母が監護
18歳(長男)
春から大学生
やったー!
第一希望だった大学に合格した!
俺は、卒業間近の高校3年生。
この1年間、大学受験のために勉強一色の生活だった。
友人との遊びは全て断っていた。
テレビやゲームなども全て封印していた。
全ては大学受験のためだった。
そして、勉強に精進した甲斐あって、第一希望の地元国公立の〇〇大学に合格できた。
〇〇大学を目指したのは、金銭的な理由も大きい。
うちはお金に余裕が無いので、家から通えて学費の安い地元の国公立大学しか受けなかったの。もし合格できなければ、就職しようと考えていた。
合格を知ったときは、とてもうれしかった。
努力が報われて、喜びで胸が熱くなった。
神様はちゃんと見てくれていた気がした。
うれしいと思うと同時に、母の喜ぶ顔が浮かんだ。
俺はすぐに母にメールを送った。
俺
「母さん!
○○大学に合格したよ!」
母は、すぐに返事が来た。
母親Bさん
「おめでとう!
母さんもうれしい!
お父さんにも大学合格を報告してあげたら?」
俺は母と二人暮らしだ。
俺の両親は、俺が物心つく頃には既に離婚していたからだ。
両親の離婚の理由は聞いていない。
いや、昔聞いたかもしれないが、記憶に残っていない。
正直、父親がいないことで幼い頃は寂しい想いをした。
運動会や授業参観は、とても辛かった。
テレビ番組の家族団らんの場面が映ると、自然と目を背けていた。
だが、母はそんな俺をとても大事にしてくれた。
父がいないことも、とても気をかけてくれていた。
俺が寂しく思わない様に、母は頻繁に父の写真を見せてくれていた。
そのため、普段は一緒に暮らしていないものの、顔はすぐ浮かぶようになっていた。
ただ、父との面会交流はほとんどしたことがない。
父は仕事がとても忙しいらしい。
また、既に再婚して新しい家庭があるみたいだ。
父にとって元妻の子である俺に会う機会は、数年に1回くらいだ。
だが、離れて暮らしているとはいえ、実の父親だ。
大学合格という大イベントを終えたのだから、結果は報告しなけれれば。
父も母も、4年制大学を卒業している。
父は子どもの頃から厳格に育てられたようだ。
当然、教育には熱心な考えを持っているらしい。
昨年、父に『第一希望は○○大学です』と言うと、『そうか!応援してるぞ』と言ってくれた。
無事に合格したことを伝えると、きっと喜んでくれるだろう。
俺
「お父さん、久しぶりです。
無事に、○○大学に合格しました」
父さんから返事は来るかな?
ドキドキ。ドキドキ。
父からの返事はすぐに来た。
父A氏
「○○大学合格、おめでとう!
春から○大生か!
息子よ、よく頑張ったな。
俺は本気でうれしい。
養育費払ってるんだから、大学生になってもきちんと勉強しろよ!」
父が褒めてくれた。
ほとんど会ったことはないとはいえ、父に褒められてうれしかった。
俺の心はほっこりした。
その夜、俺は父からの返事を母に見せた。
母も喜んでくれるだろうと思っていたからだ。
だが、父からの返信内容を見た母の表情は、段々と暗くなっていった。
母親
「養育費ね。
そういえば、離婚時に養育費の支払いは『20歳の誕生月まで』って決めたけど、どうなるんでしょう?」
「順調に大学を卒業すると22歳よね?
養育費を成人の20歳で止められたら、2年間お金に困るわね。
大学の授業料などで出費が増えるのに、20歳で養育費を止められたら生活できないわ」
なんということだ。
大学に合格することで浮かれていた。
いざ大学に通うためには授業料などお金が必要だ。
今まで、お金の問題なんて考えたことも無かった。
入学金だけで、約30万円。
授業料は、私立よりマシだが年間50万円以上もかかる。
それだけではない。
授業では専門書を使うことになるので、教科書は1冊2,000〜3,000円とかする。
半年で10個授業を受けると、2〜3万円にもなる。
学生生活にもお金が必要となるだろう。
高校時代は学ランだったが、大学に着ていく服も買わなければならない。
さらに、サークルや飲み会などで交際費もかかるだろう。
もし彼女ができたら、さらに出費は膨らんでしまう。
会うたびに、甘いものを食べさせたり、どこかに連れて行かなきゃいけない(らしい)。
記念日には、プレゼントを買わないと怒ってしまう(らしい)。
もちろん、アルバイトをすることは考えている。
大学生の定番は、居酒屋、コンビニ、マック、家庭教師だろう。
だが、授業が忙しければ、思ったように働けない。
それに、レポートや試験もあるので、バイトばかりしていられない。
アルバイトを優先しすぎて単位を落としたりしたら大変だ。
少なくとも、アルバイトを安定的な収入として期待するのは危険だ。
奨学金制度があるらしいが、それにかけるのも危険だ。
もし申請が通らなかったら大変だ。
やはり、父にお願いするしかない。
大学生活を送るためには、養育費が無ければやっていけない。
なんとか養育費を22歳の大学卒業まで払ってもらいたい。
だが、父は承諾してくれるだろうか。
母との離婚時に『養育費は成人まで』と決めたらしい。
一度決めたからには、後からその期限を延ばすなんて簡単ではないだろう。
だが、もし養育費が止まったら大学卒業は諦めなければならない。
せっかく〇〇大学に合格したのに…。
困った。
困ったぞ。
なんとか父親に養育費の支払い期限延長をお願いするしかない。
だが、そんなこと可能だろうか?
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≪離婚相談の内容≫
養育費の支払い期限は、大学卒業まで延長可能!
母親に育てられていたC君は、この春に地元の〇〇大学に合格した。
合格できて喜んでいたものの、養育費が20歳までと決められていることを知ってお金に不安を覚える。
父には、大学卒業まで養育費を払い続けて欲しいと思っている。
〇〇大学に合格されたのですね!
おめでとうございます!
塾にも通わず、独学で勉強して合格はすごいですね。
はい、ありがとうございます。
うちはお金が無いので、塾に通うことはできませんでした。
なので、問題集を買って、家や図書館で勉強していました。
C君は、相当努力したのですね。
ただ、今は大学合格の喜びよりも、大学卒業までのお金で心配されているとか…。
そうなのです。
うちの家計は、母の派遣社員の給料と、父からの養育費で成り立っています。
しかし、僕が大学に入学すると、大学の授業料だけで年間50万円以上もします。
もちろん、僕はアルバイトをして学費や生活費の足しにするつもりです。
しかし、とても私のバイト代だけでは足りるとは思えません。
確かに大学の授業料だけでなく、教科書代なども高いですからね。
授業料だけで1年間で50万円以上、4年間ではなんと200万円上。
他にも、教科書代、サークル費、交際費などもかかるでしょう。
僕は、引き続き父からの養育費に頼るしかないと思っています。
今、離れて暮らす父からは毎月きちんと養育費が支払われています。
しかし、両親は離婚時の養育費について『20歳の誕生月まで』と決めたそうなのです。
ただ、順調に進級しても大学卒業は22歳です。
もし、20歳で養育費を止められてしまったら、その後の2年間はお金が足りません。
授業が忙しくてバイトできなかったり、奨学金の申請が通らなかったらアウトです。
大学生活を送るためには、お父さまからの養育費が無ければ厳しいですね。
近々、僕は父にお願いするつもりです。養育費の支払い期限を大学卒業までにしてもらう様に相談します。
父も大学を卒業していますので、大学に通うメリットは分かっていると思います。
もし両親が離婚せずに3人で生活していたら、父は大学の授業料は当然払ってくれていたと思います。
もし、父が養育費の期限を延長することを拒否したら大変です。
元々、養育費の支払いは20歳までと言っていたので伸ばすことに同意するかは分かりません。
何とか大学卒業まで養育費を払ってもらうことはできないでしょうか?
当初は20歳までと決めていた養育費の支払い期限を、交渉で大学卒業まで延ばすことってできないのでしょうか?
せっかく〇〇大学に合格できたので、できれば卒業したいですもんね。
結論から言いますと、大学卒業まで養育費の支払い期限の延ばせる可能性はあります。
似た状況での過去の判例を紹介します。
判例の紹介
大阪高等裁判所 |
---|
平成2年8月7日 |
家裁月報43巻1号119項 |
医師の父と薬剤師の母は、離婚している。娘2人が、父に対して養育費(扶養料)の支払いを求めた。
大阪高裁は、子どもたちが育ってきた家庭環境・教育環境・経済状況などを考慮して、次の様に養育費支払いの期限を延ばした。 ・既に大学生だった長女は、4年制大学を卒業する年齢まで |
東京高等裁判所 |
---|
平成12年12月5日 |
家裁月報53巻5号187項 |
4年制大学に通う成人した息子が、父に対して養育費(扶養料)を請求した。 子は、高校卒業後にそれまで養育されてきた母の元を離れて大学に進学し、父母の扶養(経済的支援)を受けて生活・勉学してきた。しかし、成人したタイミングで父が養育費の支払いを止めてしまった。
東京高裁は、子どもが成人に達して健康であることをもって、直ちにその子への養育が必要ないと判断することは相当ではない、として大学卒業までの養育費(扶養料)の支払いを認めた。 |
今後について
実は、この養育費の支払い期限の問題は、非常に多くの人が抱えているのです。
現在、高校卒業生の約半分が4年制大学に進学しています。実に、20歳を超えても約半分の人は、親からの学費・生活費といった経済支援を必要としているのです。
ただ、ほとんどの人は、離婚時に養育費の支払い期限を『成人まで』や『20歳まで』と決めています。そのため、もし父親から養育費を受け取っている場合、大学に進学したら『養育費の支払いがいつまで続くか』という悩みに直面します。
確かに、高校の同じクラスに両親が離婚している友人は何人かいます。
みんな、大学に入った後のお金の問題について悩んでいて、『バイトしなきゃ』『養育費は卒業まで欲しい』と言っています。
私自身、C君と同じような境遇の方の相談も受けたことがあります。その際には、先ほど説明した過去の判例を紹介しています。
しかし、法律でガンガン要求するだけでなく、『相手が払いたくなるような説得』も重要です。むしろ、払いたくなるように仕向けた方が、話し合いは簡単にまとまる可能性があります。
えっ!?
どういうことですか?
養育費なんて、早く払い終えたいと思うのですが。
ちなみに、事前にお父さまに志望校は伝えていたのですか?また、〇〇大学に合格したことを伝えた時、お父さまはどの様な反応でしたか?
昨年父に『〇〇大学を受ける』と言ったら、『応援してる』と帰ってきました。父も大学を卒業しているので、息子の私も大学に行くのは普通だと思っているでしょう。
父に〇〇大学合格を伝えると、『本気でうれしい!』と返事が返ってきたのです。
父はとても喜んでくれましたと思います。
おそらく、お父さまはC君のことを応援したいと思っています。しかし、母と一緒に住んでいるので、出しゃばるわけにはいかないはずです。
C君は、独力で地元国公立の〇〇大学に合格しました。
きっと、お父さまは自慢の息子だと思っているでしょう。
これからは、大学生活の状況などのお父さまに伝える様にしてはどうでしょうか?
授業やサークルなどの話をしたり、就職の相談でもいいです。
お父さんに相談ですか?
お父さまは、息子が連絡や相談をしてきてイヤな思いは決してしないでしょう。むしろ、連絡を取り合う度に、C君のことを大事で身近な存在であることを再確認するでしょう。
同時に、お父さまはC君家族の生活が大変なのは知っているはずです。裕福ではない中、なんとか大学に通っていることも、十分気づいているはずです。
この時、お父さまと十分な親子関係ができていれば、C君がお金の心配をすることなく大学生活を送れる様に金銭的な応援してるのではないでしょうか。
な、なるほど!!
父の立場になって考えると、よく会って話す息子の応援したくなるのは当然ですね!
父と良好な関係が続いて大学卒業まで養育費を払ってもらえれば、裁判とかしなくて済みますね!
養育費問題の解決は、何も法律でガンガン攻めるだけが方法ではないのです。
相手の立場に立って物事を考えると、意外と簡単に解決することがあるのです。
もちろん、夫婦や学校や恋愛など、全ての人間関係に成り立ちます。
ミライさん!
ありがとうございます。
これで安心して学業に取り組めます。
もちろん、バイトもたくさんして母を助けます。
頑張って下さい!
充実した大学生活を送って下さいね!
養育費の期限は、大学卒業まで認められる可能性がある!
ただし、まずは父が養育費を払い続けたくなるように交流しよう!
※サイト内リンク
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